Likkle Nuff

2021/05/22 11:04

国土の5分の1を占めるマラウイ湖で知られる、東アフリカの南部にあるマラウイ共和国。


マラウイの豊かな自然、メイズ畑と赤土の大地、広くすんだ青い空、そのアフリカの原風景は美しく、心を打つ。
紛争を経験したことがないマラウイの人々は穏やかで温かく、その国民性から「Warm Heart of Africa (アフリカの温かい心)」と称される。


世界の最貧国の一つであるマラウイは、電力普及率は約12%、水道普及率は10%以下と言われている。
都市部以外では安全な水へのアクセスも悪く、数時間の道のりを歩き、水を汲むことが日課である。
多くの人がイメージする「アフリカ」、そのものかもしれない。

マラウイの首都、リロングウェのオールドタウンのはずれに店を構える「Zeni Zeni Tailor」。
「Zeni Zeni」は現地語(チチェワ語)で、「本物の」という意味。
オーナーのミランベは、南アフリカで修行を積み1978年からテイラーとして働く大ベテラン。
近所の人々がひっきりなしに訪れては、破れやほつれの修理を依頼していく。

狭い作業スペースには、彼を手伝う子供たちや、雑談に訪れる大人で、いつもごった返している。
彼の奥さんは病気を患っており、彼自身生活に余裕がないのに、近所の子供たちにお小遣いや食べのものを与えたりしている。
貧しいからこそ、お互いに助け合う、コミュニティの力強さを感じる。


ミランベは、テイラーを目指す10代の若者に裁縫の技術を教えている。
エリーザもその一人。彼女の夢はテイラーになり、自分の店を持つこと。
彼女は注文の管理もしており、ミランベが買い物で店を開けている間には、一人で店を守っている。

ミランベは今年66歳。
彼は彼の技術が、若い世代に受け継がれ、彼らが生きる術を身につけること願っている。